アジア貧困地域の就学・生活支援活動のいま①

インタビュー

HFI (Hope and Faith International)理事長 福井誠さん

HFI (Hope and Faith International) とは
貧困など社会的援護を必要とする人々(主として子ども)が、新しい希望と信頼をもって自立し、 包み支え合う家族やコミュニティーを実現させていくように、教育的・福祉的援助を行っている、東京都認定のNPO法人です。

“アジア貧困地域の就学・生活支援活動のいま”について、HFI理事長の福井誠さんと事務局の佐々木美佳子さんにお話をお伺いいたしました。

■フィリピンのスラム地区を訪問して(HFI設立の経緯)

――――HFIは1998年以降、20年以上にわたって、アジアの貧困層に対する支援を行ってこられたと伺っておりますが、活動を始められたきっかけについてお教えください。

福井:きっかけはとても些細なもので、1998年にフィリピン・セブ島のスラム地区で活動している友人を訪問したことでした。

いまから24年前に見たスラム地区は、下水道がなく、家から出た排水はそのまま道路に流れ出て、排水でできた水たまりにはボウフラが沸いていました。

衛生環境はとても劣悪でしたが、私が小学生の頃に住んでいた街の光景に似ていて、どこか“他人ごとではない”という気がしました。私の子どもの頃は、兄弟や親せきからお下がりの洋服をもらうことが多かったのですが、それを思い出してフィリピンの子どもたちにも古着の提供ならできるのではないかと考えて、中古衣料を中心とした物資支援をはじめました。これがHFIのはじまりです。

その後、現地の友人から“子どもたちの教育を支援してくれないか”と、相談を受けて、就学支援を開始しました。就学支援を始めると、支援を希望する現地の人が出てきましたので、スポンサーを集いながら次第に活動の輪が広がっていきました。

1998年の設立当初は任意団体として活動していましたが、2008 年にNPO 法人Hope and Faith International と改称して、東京都認証のNPO 法人を取得しました。その後、2020年4月に東京都の認定を受け、認定NPO法人となって現在に至っています。

――――認定NPO法人となるまでには大変なご苦労があったのではないでしょうか。

佐々木:活動が広がると、それに比例して支援を希望する人が増えてきますので、支援してくださる方を安定的に確保する必要があります。現在は、様々な団体から助成金を受けていますが、はじめて助成金を申請してから数年間は、“どこに申請しても全て落とされる”時期がつづきましたので、資金的にはとても苦労しました。また今も事務費などに充てる十分な資金がない中で活動しています。

――――安定的に資金を確保すことはとても大変なことなのですね。

佐々木:そうですね。
就学支援では、子どもたちが自立できるところまで支援し続ける必要がありますので、資金が足りなくなったからといって辞めるわけにはいきません。しかし、個人でご支援くださる方々は、ご高齢になったり様々な事情で支援を中断されることもあります。

また、みなさまに支援をお願いした場合、物が余っていれば、預けてくださることは多いのですが、資金的な支援を募ると支援者は極端に少なくなる傾向にあります。そのため、ファンドレイジングといって、常に新しい支援者を集めるための活動をおこなっています。

また、活動を継続するには、躍動感のある新しい活動をしていく必要がありそれを周知させなければなりません。スラムの子ども達だけ、現地のスタッフに対する支援金だけではなく、組織を運営するための日本のスタッフの雇用も必要です。実際には、認定NPO法人を取得するにも膨大な事務作業が必要でしたし、機関紙やホームページを作成して活動内容を告知するのにも時間がかかります。私も介護福祉士のアルバイトをしながら活動に参加していますが、片手間でできるものではありません。残念ながら運営費、この点はなかなか理解を得られていないと感じています。

私たちは大手の団体ではありませんので、できる限り小回りの利く支援活動を行っていきたいと考えています。特に就学支援では、スポンサーの方たちに子どもたちの成長の様子を細かくお伝えし、手紙を翻訳し、機関紙を年3回発行したり良き架け橋となれるように努力しています。また、スタディーツアーを通して、直接現地を訪問し、双方向の交流ができるような活動に力を入れています。

HFIを通して支援を行うには

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